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何がなしに、頭のなかに崖ありて、日毎に土のくづるるごとし

マグロ

 僕が大学生の頃にはすでにブラック企業という言葉が定着していたと思う。周りの友人たちは、ブラック企業だけには就職したくないなあ、と言いながら一生懸命就活していた。僕は、というと就活はあまりしなかった。何も考えていなかった。就活を始めた時期も遅い。周囲の人々が内定をもらい、僕だけが取り残されていった。僕は面倒だと思った。やりたいこともなかった。働きたいとは1ミリも思わなかった。しかし、就職しない訳にはいかなかった。倫理的に働くことを避けることはできそうになかったからだ。

 大学4年のある暑い時期に内定をもらった。大学3年の12月から開始されているはずの就職活動、周りの人々は春には内定をもらう、そんな中、僕は暑い時期に就活をしていた。
 就職先はブラック企業ランキングに安定してランクインしている企業の関連会社。安定して内定をもらえる!面接は散々だったのに、採用される。当時は嬉しかったが、働いてみてから、DQNが多いな(まあ、僕もDQN社員の一人な訳だが)とか、賞与が驚くほど少ないな、とか思って、もう少しちゃんと就活してたらよかったかなあ、と少し思ったりもした。
 入社して3カ月ほどで、ある有名企業の子会社のプロジェクトに請負として出向することになる。大企業で働くチャンスを得られるとは光栄だった(請負には変わりないのだが)。そのうち、なんだこれ、なんだこれ、と思いながら、残業が増えていった。今考えてみると、酷くDQNなプロジェクトに参加していたと思う。段取りが悪く、時間の浪費が目に見える。だが、当時は大手企業の子会社だし、ちゃんとしているだろう、とか思っていた。残業が多くても、仕事なんてこういうものだろう、と思っていた。
 「たびびとさん、明日(土日祝日)来て下さい」というセリフをPMからよく言われた。僕はそれが仕事だと思っていたので、快く承諾した。何事も快く応じ、働く、それが仕事だと思っていた。仕事はどんなことよりも優先されるべきことだと思っていた。就職したてで、社会人としての責任感というものを感じ始めたまじめな若い青年にとっては、仕事が何よりも重要なものだったのだ。
 しかし、何かがおかしかった。快く働いていたが、休日もなく、代休をとることすら叶わず、終電の時間が気になってから帰り支度を始める日々が重なっていき、身体の調子がだんだんおかしくなってきたのだ。
 気が付いてみると、会社を休職していた。2か月ほど休職し、復帰したのだが欠勤を重ねた。辞めた。リーマンショック直後のめちゃくちゃな時だったが、リーマンショックがあったこと自体僕は知らなかった。外からの情報はほとんどシャットアウトして過ごしていたからだ。会社の事務の女性に「大変な時期に辞めますね」と言われたが、なぜ大変なのか、よくわからなかったくらいだ。
 やめた後、僕は貯金を切り崩して、ニートな生活を続けていた。何もしないのもまずいので、簡単なアルバイトでもしようと思い、面接を受けたりしていた(採用はされなかったが)。

 そんな時、会社の同期から、飲み会をやると言われ誘われた。

 「あいつ、肩叩かれたってよ」

 そんな話になっていた。プロジェクトに出向しない、なかなか面談で採用されずに自社で待機している社員が次々に解雇されている、というような噂話をぼんやりとした頭で聞いていた。出向先でも残業がほとんどなくなった、とか、やることがなくて、自社に返された、とかいう話を聞いた。これだから、自社開発をしていない請負会社は危うい。景気の悪い話ばかりだ。

 そういえば、出向先で「死にてえなあ」とよく口走っていた人がいた。疲れているなあ、と思ってみていたが、他人事ではなくなっていた。周りの社員に目を向けると、なんだか目が死んでいる。新人教育をしている3年目くらいの社員は、上司に「お前、新人に変なこと吹き込むなよ」と言われた、と言っていた。「あいつ(上司)はうんこだ」とその社員は言っていた。

 結局、僕はいいように使われていただけかもしれない。採用面接で安定して通ったのも、まじめな若い青年特有の扱いやすさを人事部の詐欺的な笑顔を作る面接官が見出した結果に過ぎないのかもしれない。断れない性格、というのを利用する。会社は優秀な人間より、扱いやすい人間を選ぶかもしれない。盤上に無差別に並べられた使い捨ての駒の一つ。僕はその中の一つとして、会社の歯車を動かす要員だった。入社式の日にいた多数の同期の大半が3年以内に姿を消した。中には1日しか来ていない人もいた。内定式でやめた人もいた。
 僕が体調不良を理由に会社を辞める時、上司に「どこかに転職するのか。その会社名を教えてくれ」と言われた。僕は「今後のことは何も決まっていません」とだけ言って、上司の痛い視線から逃れた。上司と言っても、ほとんど面識のない人だった。ある日突然、その職務に就いたという、どこかから来たかもわからない他人だった。マスクをしているのに、ひどくヤニ臭かった。僕は会社で働いていて、辛いと思ったことがあまりなかったけれど、その口臭だけは酷く不快だった。あの上司は、どこかの浮浪者を1日だけ雇っただけかもしれない。あのオフィスにいて、座って仕事をしていた人たちは、社員でもなんでもなく、社長に1日だけ雇われたエキストラかもしれない。待機社員の僕を辞めさせるために、周囲で重苦しい空気を作り出すエキストラ。僕は扱いやすい真面目な若い青年。真面目な若い青年は、プロジェクトに出向しない利益を生まない自分のような存在は、会社にとって必要ないと思う。そして、まじめな青年は決心して、席を立ちあがり、安価で上司に仕立て上げられた数日だけの役目を負った浮浪者に、「お話があります」と言う訳だ。
 精神的に混乱し、記憶がはっきりしない時期のことを書くのは難しいが、当時在籍していた会社を辞める時の心境を今書くと大体こんな感じになる。
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