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貧乏症

 一歩後ろで歩いていた妻がこう言うのだ。

「上から下まで(色が)剥がれとるね」

 僕のリュックサック、Tシャツは酷く色褪せしていた。紺色のそれらは新品の頃に比べると大分くたびれてしまっていて、色が薄くなって白っぽく靄のかかった調子だ。Tシャツの襟は伸びてきており、風呂に入った直後でも忽ち臭くなってしまいそうなほど、不潔に見えてしまう。短パンは皺が寄っており、やはり不潔に見える。暑くて裸足にサンダル姿だから、尚更不潔さを助長しているかのようだ。しかし、この暑さは見た目を気にしている場合ではない。

「色褪せてしまってるから、見すぼらしいんやろ」僕は言った。

「上から下まで、リュックもTシャツも頭もハゲとる」と帰りの道すがら、妻は他人が聞いてそうな場所で余計なことまで言った後に「リュック新しいの買うちゃろか」と言う。

「何でそんなこと(頭髪のことを)言うの?買わんでいい」と口をすぼめて不機嫌に断りながらも、自分の見た目が気になって「かわいそうだと思ったね?新しいの買ったほうがいいかな」と聞いてみる。

「明日博多に行って買うちゃる」と妻は言う。妻としては隣で歩く夫にはもう少しマシな格好をしてもらいたいのだろう。気持ちはわかるけれど、吝嗇家と化した僕はリュックサックの機能を失うまで使いたいし、Tシャツは着ているのに全裸に見えてしまうレベルまで着続けたいと思っているくらいだ。昨今の個人的な財政状態を鑑みて、リュックサック1つを購入する程度のことであれば今後の生活への影響は少ないと思われるが、それを買ってしまったらまるで将来もないかのように損をするような気持ちになってしまう。これはある種の病気、貧乏症なのだろう。

 そもそも洋服やバッグのことなど考えもしなかったことだ。僕はスマホを格安SIMに変えようと思っていて、そのこと以外にはあまり関心がなくなっていた。格安SIMで更なる節約に努めようと思っていた。どうやら、貧乏症をこじらせてしまったらしく、節約する目的を見失っていたのかもしれない。お金を増やそうとすればするほど、僕は全裸に近づいてしまっていたのだ。
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