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金枝篇

 僕が悪いのだ。放ったらかしにしておいたのだから。しかし、なぜなのだろう。そこは水気のない場所だった。ベッドのヘッドボード付近。そこにまとまった水分が出現するなどと誰が思うだろうか?雨漏りでもしない限り、その場所は濡れることはない。



 『初版 金枝篇-上-(ちくま学芸文庫)』気が向いたら開いて読んでみようと思った本である。この前気が向いたのはもう随分と前のことだった。そうやって意味がないと言えるレベルの腐った読書法を実践していた訳で、この『金枝篇』もベッドのヘッドボードで数ヶ月腐っていたのだ。その間、僕は1ミリたりとも触れることがなかった。寝る前に読もうとすると必ずスマホに手が伸びて、それだけで満足して眠っていた。
 たまたま昨夜電気のスイッチを探してヘッドボードを手探りしていたら『金枝篇』に手が触れた。数ヶ月ぶりのことだった。僕は瞬時に違和感を覚えた。初めはそこに二冊置いてあるのかと思った。だが、それは一冊の本だった。しかし、明らかに本が分厚くなっていた。ページ数が触れない間に増えてしまったのかと思った。



 「何だこれは?」と僕は家長らしく威厳に満ちた調子で静かに言った。『金枝篇』は何らかの水分を吸収した後乾き、美しかった紙がビロンビロンに波打って、ページをめくると400ページ以降から異音がするのだった。黄色いシミが見受けられた。信じられなかった。寝ようとしている妻にこの呪いのような出来事を話すと笑われた。



 とにかく眠ることが肝要だ。僕はきっと疲れているのだ。何かの間違いだ。



 夢から覚めた時、目の前にある事実は少しも変わっていなかった。



 しかし一体なぜ枕元に水気があったのか。なぜ本が、『金枝篇』だけが濡れていたのか。ヘッドボードは濡れた形跡がない。なぜ?



 こいつの仕業か?妻に言うと「天ちゃんのせいにしない」と叱られた。尿かもしれなかったが確かにニオイはしないのだ。天の仕業ではないのだろう。「まさか君か?」と僕は問いただすと「あなたがマグカップを割った時、私は責めたかしら」と妻は言った。「ごめんね」と僕はただひたすらに謝った。直後「大事にしてたのに!」と恥も外聞もなく叫ぶと「大事にしとらんから濡れたんやろ」と妻は当たり前のことを当たり前に言った。

 しかし得心がいかない。なぜ水が・・・。水気のない場所に一体なぜ?



 この『金枝篇』は文庫本だが1,500円と結構な高額な書籍である。読んではいないが内容は価格以上に面白いに決まっている。それだけに痛い・・・全然読んでないけれど、いや読んでもないからこそ痛いのだ。
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