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落丁本

 夕方になってやっと外に出た。雨は止んでいたが、傘を持って行くことにした。運が悪いから、一歩家を出た瞬間に土砂降りにならないとも限らない。一階の駐車場を抜け、道に出た。すぐ近くの公園から作業員たちが清掃を終えて引き上げて行くところだった。辺りは薄暗かった。ほとんど陽は没してしまい、残りの寂しい陽光を陰湿な雲が遮断していた。踏み出す一歩一歩が暗さを助長していく。
 二人のサラリーマンがゆっくりと何かを話しながら歩いていた。二人を追い越し、踏切を渡った。濡れたアスファルトに堅いゴム底のスニーカーのコツコツという感覚が足裏に伝わって来た。アウトレットのセールで買ったスニーカーだ。長いこと履いているが、実に安っぽい。いつかもっといい靴を買ってやろうと思っていたが、なかなか買えずにいる。
 いつも昼間しか営業していない小さなパン屋を通り越し、小さな川に架かる小さな橋を渡った。人とすれ違い、人を追い越して行った。時折狭い道に入ってくる車に気を付けながら、商店街に出た。あまり繁盛しているようには見えない商店街を歩いていると二人の外国人が自転車に乗って通り過ぎて行った。彼らはモルモン教徒だった。この前、僕を呼びとめた人たちであるかどうかはわからない。とにかく彼らは敬虔なモルモン教徒だ。ユタ州から来たのかもしれない。こんな雨の日でもモルモンの教えを広めようとあちこちを自転車で走り回っているのだろう。あの時彼らにもらったモルモン書を未だに読んでいない。
 商店街の中心辺りに位置する郵便ポストに封筒を投函した。くるりと後を振り返り、家路についた。洋楽専門の店を通り、バーを通り、スナックを通り過ぎた。すべて僕の知らない世界だ。テントを張っただけの八百屋、入ったこともない文房具屋、そして小さな川に架かる小さな橋に舞い戻った。橋を渡ったところは以前、あのモルモン二人組に声を掛けられた場所だった。二人のモルモンと話した場所を過ぎ、パン屋を過ぎ、踏切を渡った。速足で登ると下肢が引き裂かれそうになるほどの負荷のかかる坂道を上り、家に戻った。
 家の中は暗かった。家を出る時と変わらず、猫がコタツの中で寝ていた。しばらくパソコンのモニターを眺めていた。妻から電話がかかって来てから、夕食の支度を始めた。
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