僕以外のものが無限に静止する

 勤務中、だんだん頭が痛くなってきた。室内が暑いせいかもしれない。睡眠不足だからかもしれない。水分をあまり摂取できなかったせいかもしれない。ストレスが凄まじかったからかもしれない。とにかく、途中から気分が悪くなってきて、最後の方はもう仕事なんてどうでもよくなっていた。退勤後、TSUTAYAでCDを借りて来ようと思っていたが、頭痛がひどいので諦めた。帰りの電車の中で吐き気がした。「僕、死ぬのかな」などと思い、座りたいけど、席が空いてないために座れなかった。乗車時間は15分程度だったが、途方もなく長い時間の中に閉じ込められたような気がした。いつまで経っても次の駅にすら辿り着かない。電車の進行は無限に分割されてしまい、次の駅どころか、数メートル先にさえ辿り着けないような、そんな重く苦しい走行を続けていた。そこには速度なんてない気がした。まるで何かのパラドックスにハマり込んでしまったかのように、列車は無限に静止しているように思えた。列車の無限の静止に合わせて、吐き気も無限に続くのだった。僕は列車の床に臥し、白骨化した。
 でも、実際には電車は目的地に到着した。帰宅して、頭痛薬を飲んで、倒れるように床に寝転んだ。猫はベッドで寝ていて、僕は床に寝ていた。死体のように寝ていた。

 先日、スカイプで友人と話した。豪邸の話になった。友人が数億円の豪邸を建てた後、僕を家に招いてくれる。僕は友人宅を訪れる。インターホンを鳴らすのだが、友人は出てこない。おかしいな、と思ってドアノブを回してみると、それは簡単に回り、ドアが開いた。僕は黙って家に上がり込む。いや、「お邪魔します」と言うかもしれない。とにかく、友人に招かれたのだから、僕には家に上がり込む権利があるのだ。家に上がるのだが、家具調度品は一切置かれていない。何もない。家中探し回って、なぜか最後に一番人がいそうなリビングに辿り着く。リビングの床には友人が寝ている。「ここにいたのかい?」と話しかける。しかし、返事はない。体を揺さぶるが、返事はない。彼はミイラ化していた。ここまで話した時、「誰が招いたんだよ」と実際にはミイラ化していない現実の友人はスカイプで僕に問いかけた。招いたのは友人には違いない。ただ、僕が招かれてから友人宅を訪れるまでの数日の間に、友人はミイラ化してしまった。僕が電車内で白骨化したように、彼は数億円の豪邸内でミイラ化してしまったのだ。自分以外の何かが無限に静止するものだから、僕らはあっという間に白骨化もしくはミイラ化した遺体または死体になってしまったのだ。

 兎にも角にも僕は今日体調が悪かった。
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