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失われた若さ・怒れる男たち

 ソフトバンクホークスの優勝パレードがあり、博多の街は賑わっていたことだろう。僕は博多から少し離れた、とあるショッピングモールのとある書店で中古のジュール・ヴェルヌの小説を86円という安さで手に入れていた。それは『動く人工島』という本で、タイトルからして面白そうだ(読まずに本棚で腐るかもしれないが)。きっと内容も面白いはずだ。いや、面白くないはずがない。絶対に面白い。



 ユニクロに入ると、僕はあるものを発見し、妻の手を引いて、その場所へと導いた。すると妻が「ダッフルはやめた方がいい。もう30も過ぎとるし」と言った。危険極まりなく、30歳を過ぎたら、装備することができなくなってしまう儚いダッフルコートを背にして、僕はまた去るしかなかった。もう過去のものになってしまったのか・・・。
 僕は中学生の頃、確かにダッフルコートを着ていた。それは冬に学校に着て行く以外には使わなかった。僕は雪道をジャージ姿にダッフルコートを羽織って疾走したものだ。
 大雪が降って、学校が休みになった事がある。学校に雪かきに来てくれという連絡が回ってきた。僕は家が遠かったが、全校生徒が参加するものと思い込んで、中学校へ行ったのだ。すると部活の顧問が「あれ、お前なんで来ているんだ?」と僕に言うのだった。周りの生徒は皆、家が近い者たちで編成されており、少しでも家が離れている者の姿はなかった。僕よりも家が近い友人の姿もなかった(やつはきっと家でぬくぬくと寝ていたことだろう。いっつも寝坊するやつだったからなあ)。「なぜ、みんな来ていないんですか?みんな雪かきがあることを知らないのかなあ」と言いたい気がしたが、僕は雪かきを開始した。
 帰りの雪道に時折足をとられながら、僕は家路を急いだ。帰宅後、凄まじい悪寒に見舞われて、僕はベッドにもぐりこんだ。その夜、発熱して寝込んだ。ダッフルコートの前を開けて走っていたせいかもしれない。確かに危険極まりないものだったのかもしれない。
 そして、思うにダッフルコートとは若さの特権であったようにも思う。もう取り返しがつかないのだ。今、着たいといくら望んでも、妻に「やめた方がいい」と言われるだけなのだ。僕は自分から若さが失われてしまっていることを悲しく思った。しかし、過ぎ去った事をいつまでも嘆いていて、何の得になろう?(わかっているのだ、前を向かねばならぬことは。しかし、いつまでもくよくよしてしまうものなんです)

 家に帰り、入浴時に読む本を探していた。昨日、村上春樹氏の『辺境』を読み終えたばかりだから。次も出来れば旅行記なんかを読みたいと思い、本棚を漁ってみるのだが『存在と時間』とか、『純粋理性批判』とか、そんな苦しそうな本ばかりが出てきた。例のごとく「後で読んでみよう」と軽々しく買ったものが(買った時は軽々しいとかそんな事は考えておらず、とても真剣に悩んでいたと思う)、とても重々しく本棚の中に腕組みをして、眉間にシワを寄せて順番を待っているのだ。僕は手に取った瞬間に本棚に戻す。ハイデッガーやカントら多くの哲学者たちが勇んで立ち上がった瞬間に頭を抑え付けられて、憤慨しながら、再び席に着いていく。「なぜ買ったんだ?」と彼らは怒っている。『十二人の怒れる男たち』でなく、もはや僕は何十、何百、何兆の男たちを怒らせてしまったことだろう。そんなことなど実はどうでもよかった。できるだけ色々な本を集めてみようと思っていたけれど、内容がかなり偏っていたことを反省すべきだ。一時期、哲学に興味があって買ったのはいいが、一冊も読破できていない。いや、一行も読んでいない。買った瞬間に腐った!僕は怒れる男たちに睨まれつつも、次は旅行記を中心に本を探して行こうと思っている。
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