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不満足な二人組

 寝なくても大丈夫だろう、と高を括っていたら、案の定眠くて仕方なくなり、施設の入居者の男性と一緒にリビングのテーブルに顔を伏せて、ぐったりとしていたのが今から約15時間前のことだ。夜中の暗い建物の中に、スキンヘッドの男とじいさんが二人で、テーブルに顔を伏せているのだ。客観的に考えてみると、変な光景のような気もする。二人の男性を非常灯の明かりだけが薄ぼんやりと照らしていた。二人にとって、いや、僕に限っては、その夜がとても長いものに思えた。

 本来ならば、眠れない入居者とコミュニケーションをとり、少しでも安心させてあげたら良いものだ、と普通の人なら考えるだろうけれど、僕はふつうの人でなく、変な人だったのかもしれない。というより、いくら話しかけても、突っ撥ねられて、僕の存在が鬱陶しいようだったので、もうそれ以上は無理に話しかけないことにした。そのうち男性は疲れて、テーブルに顔を伏せてしまった。自分の部屋のベッドで休むように言っても、「嫌だ」としか言わなかった。ベッドで寝たくない理由は男性に尋ねると教えてくれた。そのベッドで「ケガをした」と思い込んでいるのである。こうした妄想はいくら説明しても、納得してもらえない。僕は無理にベッドで休んで頂くことを諦め(最近は何事もすぐに諦める)、リビングで一緒に朝まで過ごすことを決めたのだった。

 前日、会議のために1時間半早く出勤していたこともあり、僕は疲れていた。いつも通りの夜勤のリズムとは違っていたから、睡眠のとり方がうまくいかなかった。あまり眠れなかったな、と不満足に思いながらも、時間が迫っていたので仕方なく家を出たのだった。

 非常灯の緑色の明かりは、そうした不満足な二人組を照らしていた。非常口の走る人はまさか、睡眠不足のスキンヘッドの男と認知症の男性を照らすために生まれてきたなんて、夢にも思ったことはなかったろう。彼もまた不満足に非常口へ向かって走っている訳だが、一生非常口には辿り着かないのだ。それを知ってか知らずか、毎日毎日24時間年中無休で、非常口に向かって全力で走っているのだ。こんな不満足なことはあるまい。しかし、その境遇も僕たちの境遇も大して変わらない。結局、この不満足な生に翻弄されて、生きていくのだ。逆に支配してやる、などと大それた考え方をする時だってあるにはあるが、いつの間にかやはり運命の虜となり、じりじりと太陽光に熱せられた焼けただれるアスファルトの上を無意識的に歩かされているのである。
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