そりゃあ、いつか死にますよ

 自宅から病院までは徒歩にして40分ほどを見ないといけない。午前中の診療時間に間に合わせるためは、業務で間誤付いている訳にはいかなかった。今月中に済ませなければならないと言われている健康診断を体調不良のまま先送りにしてしまい、健康診断を受けるチャンスはもう今日しかなかった。うっかり忘れていたフリをして、行かないという手もあったかもしれないが、後々面倒なことになるくらいなら、夜勤明けの不健康極まりない体で受けた方がまだましだった。

 仕事が終わり、自宅に戻ると急いでシャワーを浴びた。仕事の臭いと汗のべとつく体が嫌だから、仕事から帰るとシャワーを浴びないと気が済まないのだ。目に入った服を雑に着込んで外に出た。職場の同僚が「今日は雨が降る」と言っていた。確かに空は曇っており、雨の匂いがした。値段とその存在価値の割に長い間大切に使っているビニール傘を携えて家を出た。その時点ではまだどういう経路で行くのか頭の中に迷いがあり、夜勤明けの衰えた体力と相まって、見かけ上の僕は危なっかしくふらつきながら歩くのだった。
 駅に行ったとして、電車は何分待ちだろうか?そもそも電車で1駅程度であるし、徒歩の方がむしろ早い場合がある。体力もないので、タクシーに乗るという手もある。だが、タクシー代をやめて、昼食をマクドナルドにしたいという欲求もあった。色々考えているうちに、僕は駅への道をいつの間にか通り過ぎて、病院への最短路を直進していた。途中、歩道のない車道、通常そこを歩行しているとかなり目立つ道を、なりふり構わず歩いた。後ろから大型トラックが通過してゆく。地面が揺れ、風が通り過ぎてゆくのに内心びくびくとしながら、100メートル先の脇道めがけて足を速めた。

 11時前には病院に到着した。なんとか受付時間に間に合った。受付で会社名と名前を言い、問診票と検尿コップをもらった。トイレに入ったけれど、夜勤明けの汗を流した上にほとんど飲まず食わずのひび割れかけた体からは、さほど多くの量は採れなかった。検尿コップには老廃物を凝縮したような見るからに不健康そうな真っ黄色の尿。「少ね」などと独り言を吐きながら、トイレの窓を開けて、検尿コップを置いた。

 健康診断は簡単なものだった。レントゲンも心電図検査も採血も行わなかった。身長、体重、視力、聴力、血圧の検査と、先生の問診だけだった。身体測定だ。身長は174.5cm。これは以前より1cmも低くなっていた。夜勤をすると身長が1cm縮むらしい。睡眠不足によって引き起こされる修正不能な猫背がそうさせているのか、あるいは以前の身長測定の際に背伸びしていたかのどちらかだろう。
 視力は両目とも1.5。ランドルト環を照らすバックライトが夜勤明けの瞳には眩しすぎた。最初は真ん中辺りから始めたのだが、驚くべきことに全く見えず、「わかりません」と言った。次第に光に慣れ始め、環の向きがはっきりとしてきた。小さい物になるとやはり見え辛かったが、ズルをして、当てずっぽうで「えー、右です。間違いなく右です」などと言ってみたりした結果、1.5になった。当てずっぽうが当たっていたのだろうか。

 最後に問診。

先生「キレイな頭の形をしていますね。はい、じゃあ今日は終わりです」

僕「え、え?ああ、ありがとうございました」

 帰り道、一番の安定行動を取り、1駅だけ電車に乗った。最寄駅近くのショッピングストア内にあるマクドナルドでセットとポテトLを買って持ち帰り、家でパクついた。こんな生活を繰り返していたら、いつ倒れてもおかしくないだろう。もうどうでもいいや、という気持ちにさえなってくる。

 とりあえず、今日やることは何とか済ませた。あとはお休みなさい。
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