コタツで見た暴力的な夢

 17時を過ぎると、外は急速に暗くなる。この時期の空は、すぐに夜がやってきて支配してしまう。僕はコタツに潜り込んで寝ていた。横になって『ゴッホの手紙』を読み始めたばかりだった。手が冷たくなって、コタツに手を入れたのだ。そして、コタツの上のノートPCから延びるイヤホンでピアノ曲集を聴きながら、手の温まるのを待っていると、眠り込んでしまい、もう夜だ。本がつまらないから眠くなったのではない。おそらく、読書によって、脳みそのエネルギーが不足したのだろう。脳みその消費するエネルギーは膨大だ。昼食の大盛りぺヤングでは、エネルギー不足だったのかもしれない。

 夢。

 何かの建物だった。古い建物なのだが、エレベーターがついていた。エレベーターの階数を確認すると6階まであった。建物は広く、それは僕の通っていた小学校の構造にとてもよく似ていた。というよりも、エレベーター以外はほぼ同じだった。僕は小林秀雄の『近代絵画』という評論を持って歩いていた。

 建物のあちこちに古本が積み上げられていた。もしかしたら、古本市でも開かれるのかもしれない、と思った。古い友人が一人、古本の整理をしていた。話しかけてみると確かに古本市らしきものが開催されるらしい。僕はその友人のことをあまり友人として見られずにいる。彼は酷い嘘つきだからだ。古本市の話も嘘かもしれない。
 その友人らしき人物は、何か胡散臭い表情で僕を見ながら、何かに誘おうとしている。そして、友人は僕の持っている本を「とりあえず、その古本の上に置いて来い」というようなことを言ったと思う。僕は『近代絵画』を積み上げられた古本の上に置いた。そして、エレベーターに乗り、建物内をうろうろした。だが、目的も何もないことに気付いた。なぜ、僕を連れまわしたのか、と友人を問い詰めても、友人は胡散臭い笑いをしているだけだ。釈然としない。ふと『近代絵画』のことが気にかかる、古本の束の上に置き去りにされたままの。もしかしたら、あの本を、僕の大切にしている本を、こいつらの卑劣な組織が盗み出す計画だったのかもしれない、と僕は認知症患者の物盗られ妄想のように、ヒステリックに叫びだす。

「おい、コラ!ぼくの本を今すぐここに持って来い!」

 僕はペテン師を追いつめる。だが、ペテン師はニヤニヤしている。嘗められてたまるか、と僕はペテン師の胸倉を掴み、片手の力だけで、体を持ち上げる。その時になって初めて、ペテン師の顔が青ざめるのを見た。もう手遅れだ。僕はペテン師を床に叩きつける。床でもがいているペテン師に「もう一度言う。早く、ぼくの本を持ってくるんだ!」と怒鳴り立てた。ペテン師は苦しみながら「ああ、わかった。悪かった」と何等かの罪を認める応答をした。ペテン師は床でもがきながら、小さくなっていった。

 目覚めると外が暗くなっているのを認めた。そして、小林秀雄の『近代絵画』がベッドの本棚にあることを確認して、安堵した。
スポンサーサイト


ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

たびびと

Author:たびびと
こんにちは、たびびとです。
ようこそ、ぼくのブログへ。

介護職員のバイトをしています。
時間がいっぱいあるので、ブログ始めてみました!

広告
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

カレンダー
06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR